令和8年8月
林業の6次産業化
六月定例議会において、「森林資源のサステナブル利用による地域創出事業」が採択されました。
本事業は、内閣府の地域未来交付金と過疎債を活用し、山林資源を有効活用する三年間のソフト事業です。
東北では、初めての取り組みとなり、林野庁や秋田県からご指導をいただきながら、交付申請にご協力をいただいた東京の株式会社トビムシと連携して進めております。
数年前、村議会議員も移住・定住や6次産業化の先進地である岡山県西粟倉村や北海道下川町を視察しました。
私自身も遅ればせながら視察の機会を得るとともに、議会や有識者からの助言を受けながら、新規事業に挑戦しております。
何もしないで黙っていては、村は衰退の一途をたどります。
村に豊富に存在する資源や村にしかない魅力を利活用することで、産業振興を図り、人口減少の緩和につなげていくものです。
6次産業化とは、1次産業(生産:農業、林業など)と2次産業(加工:木材加工、食品加工)、3次産業(販売・サービス:直売、ネット販売、観光、教育)を掛け合わせる取り組みです。
1×2×3=6になることから、「6次産業」と呼ばれています。
原材料を¬育てる」「つくりかえる」「とどける」を一体的に行うことで利益が増え、地域の雇用も生まれます。
村にある秋田スギを核として、林業の6次産業化を展開し、地場産業の付加価値を高めていきます。
林業に関わる方々が気持ちよく、安心・安全に働ける環境を整備し、大学や学生とも連携しながら、人が集う持続可能な地域づくりを進める事業です。
全国の先進地では、ソフト事業を着実に実施したうえで、製造施設整備などのハード事業を発展させています。
西粟倉村では、山林整備や水資源の活用、製造加工業の立ち上げ、販売、観光などに多くの方が関わっています。
下川町でも、木質チップをエネルギーセンターへ供給し、エネルギーを活用する産業によって事業展開が進んでいます。
村でも林業関連事業者や製造業、サービス業などさまざまな異業種との話し合いを重ねてまいりました。
村の資産と出資による新たな事業体の設立も視野に入れ、失敗を恐れず挑戦してまいります。

秋田県議会議員の北林丈正氏と佐藤光子氏とともに現地視察を行いました
令和8年7月
学校体育館の書
学校の体育館正面には、校歌が掲げられています。
校歌は、「みどりは 光に瞳をひらく」で始まり、村民歌も「みどりの風も さわやかに」と歌いだします。
どちらも「みどり」を大切にしており、校歌では3番までに15回も「みどり」が登場します。
その校歌の両脇には、書家・山口蘭渓(やまぐち らんけい 本名・南寿、明治15年~昭和50年)の書が掲げられています。
この書のことは、横手市の小林忠通さんからメールで教えていただきました。
蘭渓は、大館市出身で、秋田師範学校(現秋田大学)を卒業後、日下部鳴鶴(くさかべ めいかく)に師事し、中央書道界の重鎮として活躍しました。
上小阿仁中学校のために「誠実力行(せいじつりっこう)」「清和持敬(せいわじけい)」の二幅を書き残しています。
いずれも「為上小阿仁中学 蘭渓仙史」と署名されています。
仙史は、書家が「〇〇仙史」と名乗る人がいます。
「誠実力行」
誠実は、私欲を捨て、真心をもって、人や物事に向き合い、自分にも他者にもウソをつかず、誠実な姿勢を貫くことです。
力行は、困難があってもあきらめず、懸命に努力を続けることです。
誠実力行とは、損得にとらわれず、日々のやるべきことに真摯に取り組み、最後までやり抜く姿勢を示しています。
多くの学校の校訓にも採用されている言葉です。
「清和持敬」
清和は、空が晴れておだやかなこと。
持敬は、敬う心を持つこと。
清和持敬とは、心を澄ませ、敬愛の心を忘れるなという教えです。
著名な書道家が、上小阿仁村の子どもたちのために、これほど温かい言葉を残してくれていたことに、あらためて感謝の思いが湧いてきます。
元上小阿仁村教育長の山田慎八郎先生のお話を思い出しながら、体育館に掲げられた2つの書を見つめました。

上小阿仁村立上小阿仁小中学校の体育館
令和8年6月
森とクマの関係を考える
最近、会議や会合ではクマの話題が多くなっています。
全国的に目撃が増え、人身事故も相次いでいます。
山だけでなく、繁華街や学校の周辺にも姿を見せるようになり、各地の首長が対応に苦慮しています。
自然には、食べる・食べられるという「食物連鎖」という仕組みがあります。
草や木の実を草食動物が食べます。
さらにそれを肉食動物が食べます。
やがて生命は土に還り、微生物が分解し、その栄養がまた植物を育てます。
この循環は、自然の中で静かに、確実に続いています。
では、クマの数を左右しているものは何でしょうか。
そのひとつが、クマの好物であるブナの実だと言われています。
豊作の年はクマが十分に栄養をとり、子どもを多く産むようです。
一方、不作の年には食べ物を求めて里に下りてくることが増えるとされています。
ブナは毎年豊作にはなるわけではなく、豊作と不作を繰り返すことで、結果的にクマの数を調整しているという説もあります。
植物同士も生き残りをかけて競い合っており、必要な水分や養分をできるだけ多く取るために、周りの植物と太陽の光を奪い合っています。
また、根や葉から化学物質を放出し、周囲の植物の発芽や成長を抑えていることもわかっています。
ブナは、子孫を効率よく残すために多くの実をつけますが、実が多いとクマが増えてしまいます。
クマが増えるとブナの実は食べ尽くされ、ブナは子孫を残すことができなくなります。
そこで、ブナは、毎年豊作にせず、クマの数を調整していると説明する研究者もいます。
生きるために食べ物は欠かせず、動物も植物も自然の中で互いに影響し合いながら共存しています。
森の中では、植物も動物も複雑に関わり合いながら生きています。
私たちも家の周りにクマの餌となるものを置かない、隠れ場所を作らないなど、できる対策をみんなで進めてまいりましょう。
なお、狩猟免許の取得や草刈り、電気柵の設置、収穫しない果樹の伐採補助制度なども活用していただき、村民の皆さんが安心して、暮らせるよう、ご協力をお願いします。

自然観察教育林
令和8年5月
携帯電話と私の学び
携帯電話が1台あれば、生活の多くが成り立つ時代になってきました。
もしかすると、私が知らないだけで、すでにそうなっているのかもしれません。
病院の予約や会計、飲食店での注文まで、携帯電話で済ませることが当たり前になりました。
都会では、電車案内やタクシーの呼び出し、各種料金の支払い、さらには災害時の避難場所の案内や情報提供まで、ほとんどのことが携帯電話で完結しています。
「高齢だから使えなくても仕方がない」という考えでは、どうしても生活が不便になり、人に頼る場面が増えてしまいます。
私自身、できるだけ周りの方にご負担をかけたくありませんので、教えていただいたことをメモしながら、少しずつ覚え、使い慣れるよう努めています。
携帯電話で写真を撮り、毎日の日誌をネットに掲載して、情報発信をしています。
村長として、また1人の村民として、1日の出来事や感じたことをフェイスブックやブログに投稿することで、上小阿仁村のお知らせやPRにつながればと願っています。
ありがたいことに、投稿には多くのご意見や感想をいただいております。
また、投稿に反応していない方からも、会合などで「見てますよ」「読んでますよ」と声をかけていただき、その広がりに驚くこともあります。
近年のネット上での住民の皆さんの反応を見ていると、村や議会のお知らせや出来事を、できるだけ早く、正確にお伝えすることの大切さを改めて感じます。
また、ご質問や疑問に対しても、できる限り正直に、包み隠さずお伝えしていくことが、皆さんの安心につながると考えるようになりました。
これまでは、人が嫌な思いをしたり、プライドを傷つけたりしそうな内容については、できるだけ控えてきました。
しかし、良識ある住民の皆さんが、情報不足から疑念を抱かれる場面も見受けられるようになりました。
このままでは、現状を正しく理解できず、誤った情報が広まり、村民の皆さんが不利益を被ることになりかねません。
大多数の住民の皆さんが、公平・平等に短期的にも長期的にも恩恵を受けられるよう、これからも努めてまいります。
村の難しい事業こそ、ズルをせず、利他の心を大切にしながら、誰にも負けない努力を重ねることで、村民の皆さんに喜んでいただける事業にできると信じています。

年度初めの訓示
令和8年4月
民間にはない「起債(きさい)」という制度
村の事業には、民間企業にはない特別な仕組みがあります。
それが「起債」という制度です。
① お金がなくとも事業ができる
民間企業も必要な資金が足りない時には借入をして事業を行い、数年かけて返済します。
ここまでは、村も同じです。
② 返すお金の70%を国が負担してくれる
ここからが民間とは大きく違う点です。
村が起債で借りたお金を返す際、返済額の70%を国が交付税として負担してくれます。
つまり、村が実際に返すのは、30%だけです。
このため、全国の市町村がこの制度を活用しようと、国や県に強く要望しています。
③ 補助金がついた事業でも、自己負担分を借りられる
たとえば、国の補助金で 70%が補助される事業があったとします。
残りの 30%の自己負担分を、起債で借りることができます。
さらに返済時には、その30%のうち 3割(全体の9%)だけを返せばよい仕組みです。
●具体例 1万円の事業を行なう場合
補助金 7,000円
村が借り入れる分 3,000円
村が実際に返す額3,000円の3割 900円
つまり、1万円の事業を村は、実質 900円で実施できるということになります。
だからこそ、どこの自治体もこの制度を使えるように国や県に要望しているのです。
●ただし、国・県の予算には、限りがあります。
この制度は非常に有利なため、国や県の予算には、「順番」や「限度額」が設けられています。
また、国や県の事業であるため、目的・規格・材料・施工方法などに厳しい基準があり、その条件を満たしたものでなければ認められません。
●村としての姿勢
全国の自治体は、この制度を活用しながら住民サービスを向上させ、税負担を抑える努力をしています。
上小阿仁村も同じです。
なお、村が実質返す3割分については、減債基金として約6億円を計画的に積み立ています。
これからも村民の皆さんからお預かりした大切な税金を無駄にせず、村民が求める事業にしっかり活かせるよう、国や県に働きかけながら、最善の方法を探ってまいります。

株式会社北日本鉄工クマ捕獲用箱わな贈呈式の様子